一般社団法人 身体均整師会東京支部ホームページ
〜身体均整師会東京支部のホームページ〜

東京支部だよりバックナンバー(2013年1月)

■■ 第178号 身体均整師会 東京支部会報  ■■

◇ 東京 支部だより ◇

■■          2013年 1月■

発 行 身体均整師会 東京支部

事務局 東京都小金井市本町1-2-14 コーポ牧田102

責任者 深沢 功


今年も身体均整師会東京支部をよろしくお願いします。

「挨拶」
身体均整会東京支部長 深沢 功

 明けましてお目出度うございます。2012年12月21日は思った通り肩すかしをくってしまいました。とても残念です。なぜなら、今や人類は地球にとってガン細胞のごとき存在に成り下がってしまったからです。ガン細胞なら摘出されて当然。神様がそれを行うかもしれないと思っていたのですが、何事もおきませんでした。神様に見放されたのかもしれません。
 こうなったら、ガン細胞がガン細胞を攻撃して、ガンを破壊し、自らの手で地球を再生するしか方法がなくなったわけです。
 古事(ふること)に習えば、スサノウノミコトの乱暴狼藉に、日の神様であるアマテラスオオミカミは何もかも嫌になってアマノイワトにお隠れになってしまわれました。どうもそのようになってしまったのではないでしょうか。
 日の神様がお隠れになったので、世の中は真っ暗になり、こまった神様達が寄り合って試行錯誤を繰り返し、あれやこれや行った後、タジカラオノミコトが怪力でアマノイワトを明けて、日の神様の連れ戻すわけですが、どうやらそれと同じことを行わなければいけないのかも知れません。
 こうなったら「ヤマト魂、ヤマト心」を復活させなければならないと思います。エッ、突然飛ぶなって?。まー良いじゃないですか。どうせ私の言うことですから。紙面無いことですしね。
 ところで知ってました。「ヤマト魂、ヤマト心」とは特攻隊のような武勇を尊ぶ心ではなく、女性がはじめに言い出した言葉であることを。小林秀雄先生によって私は教えられました。いずれも王朝文学の隆盛とともに女性が使いはじめたのだそうです。
 「ヤマト魂」の最初の用例は、紫式部により源氏物語の「乙女の巻」中で語られているそうです。源氏が息子である夕霧に「猶、才(ざえ)を本としてこそ、大和魂の世に用ひらるる方も、強う侍らめ」と言っています。夕霧を大学に入学させる時に語られているのですが、「やはり、学問といふ土台があつてこそ、大和魂を世間で強く働かす事が出来る」といっているのです。
 「ヤマト心」用例は、赤染衛門(あかぞめえもん)の歌にあるのだそうです。 赤染衛門は大江匡衝(おおえのまさひら)奥さん。匡衝は高名な文章博士。その博士が「果(はか)なくも、思いけるかな 乳(ち)もなくて 博士の家の 乳母(めのと)せむとは」「ずいぶん馬鹿なことを考えものだな お乳も出ないで(知識がない馬鹿が) 博士の家の 乳母になるとは」と歌ったそうです。「乳」を「知」にかけた、吉本のようなつまらない駄洒落です。
 それに対して奥さんの 赤染衛門はつぎのように歌を返しましした。「さもあらばあれ 大和心し 賢くば細乳(ほそじ)に附(つ)けて あらすばかりぞ」「ちっともかまわないじゃないか 大和心さえ賢い女ならば 無学でも、子供を預けてちっともかまわない」知識がなくてもヤマト心があれば、それで良い、と言っているのですから、こちらは非常に力強い歌です。
 今昔物語にも、はっきりと、「知識=才」と「ヤマト魂、ヤマト心」の対比が現れているそうです。
 ある学者(明法博士善澄)の所に泥棒が入った。学者は怖いものだから床下に隠れた。泥棒達の狼藉を見て、腹が立ったので、彼らが立ち去ると、後を追って門前に飛び出して、「おのれ等の顔を、皆見覚えたから、世が明けたら、役所に訴えるから覚えてろ」と大声で怒鳴ったそうです。そうすると、泥棒は戻ってきて、学者を殺したのだそうです。
 この事件に対して、今昔物語の作者は次のように言っています。「善澄才ハメデタカリケレドモ、露(ツユ)、和魂(ヤマトダマシヒ) ナカリケル者ニテ、此(カカ)心幼キ事ヲ云テ死スル也」と。才は優れていたが、大和心が少しもなかったから、こんな馬鹿な事になってしまったのだ。という意味です。 
 こちらを見れば「ヤマト魂、ヤマト心」の言葉の姿がハッキリ解りますね。机上の学問に比べられた生活の知恵、死んだ理屈に対する生きた常識、という意味合いのようです。
 両者が折り合うのは難しい事だとも今昔物語の作者は語っているそうですが、いずれせよ、才(学問的知識)に対しての反対の概念が「大和魂とか大和心」なのです。
 『才が、学んで得た知識に関係するのに対し、大和心の方は、これを働かす知恵に関係すると言つてよさそうである。』そうです、この知恵を復活させなければならないのです。
 エッ、均整と関係あるかって?。大いに関係があります。 
 手技療法は厚生省より『1)科学的でない、2)種類が多い、3)玉石混淆、4)業者の素養が低い』と言われてしまいました。そのため、科学的である事に腐心してきたのですが、その方向を間違えたようです。
 じつはこの4点の中にこそ、手技の本筋があると思います。それを復活させなければなりません。これこそ均整の「ヤマト魂、ヤマト心」なのです。 野口晴哉先生も次のように言っています。

『生命に対する今までの科学的研究の非科学的なるを指摘し、新たなる途につかしむたべきである。分解と分析による物の面からの研究では生命はいつになっても掴めない。・・・自分の為し得ることは治療学としての手技療法であって、医学としての手技療法ではない。・・・治療ということは今の世に至っても理論よりも実際を重んじ、知識よりも経験によって行われ、最新の学を修めた人よりも老練な経験者が尊ばれるのであります。しかし、最近の世の風潮は実際よりも理論を尊び、経験よりも実験を重んじ、目前の事実よりも活版刷りの数字やカタカナを大切にするので、手技療法を行う人もその風潮にのって解剖生理的根拠のもとに、これを行おうと、いろいろの説をたて、その説によって人間を見、療術を見、生きているはたらきそのものから、形に注意が奪われて停滞してきているのでありますが、・・しかし療術というのはその理論によって行われるのでは無く、指の本能的な感覚によって、為されているのでありますから、・・しかしそれ故に療術が学問的になりきらず、生きた体のうちに遺体的な形のみを観て、その為に動き得ないで、智慧を装ったが、実質の本能のはたらきによって行われる理論以前の力を失っておらないことが判ります。この点、理論から出発して工夫される治療行為とその出発点が異なるのでありまして、療術の理論は療術を行う人の考えを知るためのもので療術そのものの理解の材料にはならないのであります。(野口晴哉先生)』

 お分かりでしょうか。才とは、今日で言う科学的思考法です。そして「ヤマト魂、ヤマト心」は野口先生の考え方、厚生省が療術に下した判断の中にこそあるのです。
 われわれは科学的、科学的という事で、科学でなければ学問ではない、ということで近代から現代まで突っ走ってきましたが、その結果はどうですか。われわれは、まさに死に体。人類をガン化させたのは、科学的という部分のみをみて全体を見ない概念です。これでは駄目なのです。是非「ヤマト魂、ヤマト心」を復活させましょう。均整法がその先駆けとなる。ゆかいではありませんか。


■1月の予定■
◆第472回東京支部研修会◆

【投影姿形と異常観察法】
講師 深沢功先生(尋牛均整院・東京支部長)

 身体均整師養成講座は中山一俊先生のご尽力により京都より始まったわけですが、その方達が卒業された時、「講義内容が細分化され繁雑で分かりにくい」「何を学んだのかさっぱりわからない」などという批評をいただいてしまいました。
 その時は姿勢保健均整専門学校のカリキュラムと教科書をそのまま用いての授業だったのですが、その批評に中山先生はショックを受けてしまいました。そこで、カリキュラムの見直しが大村慶人先生、蛇見孝先生、中山一俊先生により行われ、今日の形になりました。私と西脇幸宏先生は意見を言ったのがきっかけで後から参加しましたが、ほとんど決まっていたので、私たちの意見は意見として聞いてもらうだけでカリキュラムには反映されませんでした。
 私の意見は、どうせ理解しないのだから、姿勢保健均整専門学校のカリキュラムのままで良いというものでした。こんなこと言えば誰も取り上げてくれないのは当たり前ですが、私はそのカリキュラムで多いに満足だったのです。批判するのはよく人間が解ってないからだと思っていました。また、理想な形を作り上げたとしても、その反対の批判は必ず存在します。どのように教えようが、受けるものが熱心に、たゆまず努力し続ければものになります。成る成らないは勉強する側の責任なのです。以下は1996年11月に出した私の意見書の抜粋です。

(成る成らないは)は授業内容からではない。テクニックを教えることでもない。やる気のあるのが集まるか集まらないかの違いだけだ。集まらなければ、いくら懇切丁寧に教えたところでものにならない。やる奴は1月教わっただけでも開業する。

 とはいえ、学園を卒業された方達を見ていると、観察法で苦労しているように見受けられます。そのため、カイロや他の技術の観察法を学び直した方もいると聞きます。もちろん、勉強することは良いことでそれで問題はないのですが、ただ、均整法独特の見方、考え方というものが伝わっていない、理解されていないようなので、それが残念だと思っています。以下はその時省かれてしまった授業です。

「身体異常観察法」「投影姿形」「くつろぎ傾斜圧」「相関関係」「頭骨操法」「生殖器講座」「臨床医学各論」「症候・診察概論」

 私はこれらの授業を受けていたので、他の技術に浮気する必要など全く感じることなく今日まで来ました。これらが理解できれば、均整法の原理原則がわかり、症状、病状に応じて手を千変万化(一寸大げさかな)させて、新しい技をその場でつくり出すことができます。
 今回は、このうち「身体異常観察法」「投影姿形」をテーマに当時、私の受けた授業を再現してみようと思っています。(深沢)

・日 時 1月20日(日)
・場 所 上原社会教育館
 ※会場は均整倶楽部名で借りていますので問合せなどには名義にご注意ください。
・時 間 午後1時〜午後4時50分
・料 金 身体均整師=\2,000
※テキストとして以下のものをご用意ください。
テキスト
・筋肉操縦法(教科書)
副読本
・講座集復刻版 第2集
・講座集復刻版 第5集

■会場案内■
『上原社会教育館』
住所:渋谷区上原3-13-8
電話:03-3481-0301
交通:
 小田急線
 地下鉄千代田線
「代々木上原駅」5分
 京王バス[渋67]系統
「代々木上原駅」3分


■今後の支部研修会予定■
2013年
2月17日(日)坂戸哲(さかとあきら)先生(木場均整指導所)『類別克復法(観歪法)』
3月24日(日)金井周二先生(金井均整院)『身体均整法的関節運動〜肩関節〜』
※3月のみ第4日曜日に開催
○4月21日(日)金井周二先生『身体均整法的関節運動〜膝関節〜』


■第471回支部研修会報告■

 12月16日の支部研修会は、越谷のサンシティホールにて、鏡八重子先生に『臨床応用』の講義をして頂きました。
 開始早々に先生は「今回は昨年とはスタイルを変えて一人の受者に対してじっくり説明しながらやるからなんでも質問して良い」と明言。そして均整法の要である「姿勢」「平衡・可動・強弱」そして「相関関係」を中心に講義されました。

【体幹の観察】
 体幹を3つにわけてその幅が均等になるように調整する。3等分にならないとバランスがとれたことにならない。観察するところは、以下の3つの幅。
1. 頚窩の中央から剣状突起 2.剣状突起から臍 3.臍から恥骨結合

 

【くつろぎの調整】
 受者の上肢下肢の関節の可動性を観察し、動きやすい形にして「くつろぎ姿勢」にする。自律神経はその姿勢だけでも身体を調整できる。
 また、くつろぎ姿勢をとった形は、経絡の「陰経」と「陽経」のバランスもとれる形になる。

 

【刺激の角度と張力】
 くつろぎ姿形を作った上で、身体の動きのないところへ張力を加えると上肢下肢のバランスを一度でとることができる。

 

【経絡による腹部の調整】
 足の経絡線を観察する。
 圧痛点が表にある場合は底屈で刺激を入れ、圧痛点が裏(付け根)にある場合は背屈で刺激を入れる。受者の呼吸を観察しながら1kgの圧で経絡に刺激。刺激が入ると腹部の硬結がとれる。

 

【所感】
 鏡先生の講義は、臨床の技術内容だけにとどまらず、ご自身の開業秘話、亀井師範の講話、そして身体均整法の手技者として持つべき心構えまでとても力強くお話されました。
 今回の講義でもっとも印象に残ったのは、間合いの取り方。手技をやる上で受者との間合いの取り方は非常に大事だと思っていたところに先生の間合いの取り方を存分に見れたことはとても勉強になりました。
 また、先生の呼吸を観る目線も印象的でした。先生がどのような目線で受者の呼吸を観て、そして呼吸が入るタイミングを判断するのかを何度も垣間みることができました。
 均整法は「呼吸の技である」と言われていることの理解がまた一段と深まったと感じています。これらは研修会に足を運んで生の臨場感を体感しないとわからないと強く感じた一日でした。
「死ぬまでこの仕事をやりたかったら常に勉強してください」
「人の体をたくさん触ってください」
先生はそうおっしゃられました。その言葉が参加した均整師の胸に鼓舞刺激として入り参加した全員が、「来年もまた頑張ろう」と思ったことは間違いないでしょう。
 とても貴重な一日になったと思います。

 

【東京支部忘年会】

  研修後は先生を囲んで東京支部の忘年会。北海道から3名の先生が来られて先生も大変喜ばれておりました。
  宴会でも鏡先生を中心に東京支部が一つにまとまった一日になりました。
(レポート:「じょう均整院」城先生


■東京支部・自主活動情報■
◆第226回手技研究会◆
・日 時 1月17日(木)17時位〜21時位 (毎月3回目の木曜日に開催しております)
・場 所 中野区大和町1-65-4増田ビル2F ザ・均整法せいたい
・問合せ 池田 勝
・参加料 ¥1,000

◆手技勉強会◆
受者、整者、第3者が納得する、「3つの納得」 の為を目標に、実際にクライアントを招いての実技及び実技指導を実践し ます。
受者の施術料は、事故発生時に賠償保険の対象にするために、初回~3回まで1,000円、4回以降は、3,000円を徴収しております。
・日 時 毎週木曜日10時~21時 (但し毎月3回目 の木曜に限り17時位まで)
・場所、問い合わせ 上記手技研究会と同
・参加料 無 料


◆天内練習会 & 頭脳開発研究会◆
定例の練習会です。 会場手配の都合がありますので関心のある方は早めに御連絡下さい。

・日 時 1月25日(金)13時15分〜16時45分
・場 所 JR中央線武蔵小金井駅もよりの天内先生施術所または近隣施設
・参加料 \1,000
・世話役 馬場久宏
※問い合せ、参加申込は馬場先生まで

◆均整法 原理を語る夕べ◆
定例の情報交換・意見交換会です。参加される方は前日までに御連絡ください。

・日 時 2月5日(火)16時〜19時+α (途中参加、途中退席自由です)
・場 所 JR新宿駅付近を予定
・参加料 無料 (飲食費等は各自負担)
・世話役 馬場久宏
※問い合せ、参加申込は馬場先生まで

◆松山旅行企画 均整法の源流に触れる◆
身体均整法源流の地、松山をよく知る天内先生に案内をしていただける機会がありそうなので旅行を企てたいと思います。関心をお持ちの方は希望日程を含めリクエストをお寄せください。
・世話役 馬場久宏先生
※問い合せ、参加申込は馬場先生まで


■あとがき■
 2013年が始まりました。21世紀の始まりがつい最近のように思えますが、あれから13年も経っているんですね。今年もあっという間に過ぎていくのかな、などと1月の寒空を仰ぎながら。悔いのないように過ごしたいです。身体均整師としても悔いのないように精一杯修行を積んでいきたいです。
 昨年、東京支部委員であった毛利之子先生がお亡くなりになられました。研修会の場ではいつも凛とした態度で講義を見守り、謙虚でありながら力強い眼差しで講義を学ばれ、そして後輩である僕の声にも暖かく耳を傾けてくださった毛利先生は僕の模範となり、その姿勢からは多くのものを学ばせて頂きました。ありがとうございました。合掌。(矢作)

 


Copyright 2006〜2012 身体均整師会東京支部 All Rights Reserved.