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東京支部だよりバックナンバー(2009年5月)

■■  第139号 身体均整師会 東京支部会報  ■■

◇ 東京 支部だより ◇

■■            2009年5月■

発 行 身体均整師会 東京支部

事務局 東京都小金井市本町1-2-14 コーポ牧田102

責任者 深沢 功


■第426回支部研修会報告■

4月19日の支部研修会は、笹塚区民会館に於いて、金井周二先生
を講師としてお招きし、
「すぐにでも手が出せる均整法」の講題でご講義いただきました。

【体型観察】

ひとつの考え方として、身体各部に動きの軸を設定し、
動きによる相関関係で体型観察・調整をする。


例)肘の回旋調整により体幹の回旋動作も調整される。

12種体型表を、お客様の訴えに素直に当てはめる。
頭痛は「頭脳型」、胃痛は「消化器型」、腕が痛い場合は「筋肉型」。

月経前症候群(PMS)であれば、まず頭脳型で調整し、
変化が少なければ、体型相関により骨盤型で調整、など。

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【体型調整】

お客様の体に合わせて、骨格、筋肉、神経、経絡調整を組み合わせる。

腹臥位で両足を内旋させたとき、
内旋しにくい足の意中(イチュウ)付近に、圧痛を観察できる事が多い。
それを経絡調整により消失させることで内外旋が整い、骨盤調整になる。

意中の圧痛箇所にデルマトームを当てはめ、内外旋の整う椎骨を探
して調整してもよい。


橈骨と尺骨との二軸の動きと、両足の内外旋動作に相関を観て、
手関節の引き締め操法により骨盤調整してもよい。

身体各部の関節の動き(関節包内運動)を
一カ所ずつ観察・調整していくことが、そのまま体型調整になる。




関節の運動方向を「伸展」「屈曲」「外転」「内
転」「外旋」「内旋」など、
関節運動学的に分類し、動きのない方向に、凹凸の法
則に従って動きをつけていく。

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【臨床へのヒント】

○主な関節をすべて観察しながら調整していくと時間
はかかるが、
 特に初学者のうちは、たくさん触れるので、早くう
まくなる。

○例えば腕を前方挙上した場合に、
 肩関節付近の後ろ側に痛みがあれば、関節包外運動
に可動制限があり、
 症状としては軽く、
 前側に痛みがあれば関節包内運動に可動制限があ
り、
 症状は深いと考えられる。

○四十肩によって可動制限の生じた肩関節の肩関節包
内運動では、
 どの方向にも動きのないことが多い。
 その中でもいちばん動きのあるところを見つけ、
 そこから全方向への可動域を徐々に広げていく。

○年間を通して妊婦さんの来院が多い。
 その臨床経験から、骨盤の姿型を整えることは、
 やはり安産につながると言えるようになった。
 ひとつの方法として、
 経絡の流注を通じて性や生殖器に関係する肝経、脾
経、腎経による、
 経絡的な骨盤調整は非常に有効。

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■コラム■

支部研修会を考える その2 「群盲象を撫でる」

深沢 功

お釈迦様の説法に、群盲象を撫でる、という話があり
ます。
目の見えな人達が象の前に集まって、
始めて象を触り、どの様に感じたか、その印象を語り
合うのですが、
鼻に触った者は「棍棒の様だ」と言い、足にさわった
者は「柱の様なもの」だと言い、
耳に触った者は「うちわの様ものだ」と言い、腹に
触った者は「大きな壺の様なものだ」と言いました。
そして、それぞれの人が、自分の主張を譲らなかった
ので、
大げんかをはじめた。と言うものです。
 
この例えは、私たちの整体や均整、ひいては手技療
法、いや現代医学を含めた、
すべての治療技術についても言えると思うのです。
誰それの言っていることは間違いで、俺のが正しいと
言っても、
それはその人の経験において正しいのであって、
別の経験をした人から見れば異なることになります。

考えて見れば、象が大きすぎて分からないように、
人間存在そのものが、宇宙のように広大だと言われて
いるのですから、
分からないのがあたりまえで、簡単に結論など出るも
のではないのです。

この逸話は局所的知見、局所的知覚でしか物を観られ
ないのが人間だ、という言っていると思うのですが、
別の角度から言えば、私達は、色メガネで世界を見て
いると言っても良いと思います。
誰も裸眼では物を見ることが出来ないのです。ですか
ら物事を正しく見られるわけがないのです。
物事の真実が解るなどと考えるのは大間違いで真実な
ど解りようが無いのです。
 
したがって科学的な真実というのも幻想にしかすぎま
せん。
いや、これは言いすぎですね。
科学的真実というものにも一理あります。
現代はその恩恵に預かり、月に人間が立ち、遥か彼方
の星々の様子もかなり解り、
人体の細胞を見ることができて、さらには遺伝子を発
見し
、血の一滴さえあればそれが誰の者であるかが解り、
空を音よりも早いスピードで飛びまわり、
食べ物は腐らず、寒さに震え、暑さに辟易することも
なく、
家に居ながらにして電気紙芝居が見られます。
これらは科学的に真実を追究した賜物なのですから。
 
このようなことから、科学的な追求こそが真実を探る
道だと、
われわれはそれを金科玉条のごとく掲げて近代を突っ
走って来ました。
しかし、ここへきて少し事情が変わって来ました。
科学的な追求が成功するのは、要素が少なく、単純な
関係のみの場合だけで、
要素が多くなると、全く解らなくなるというのです。
 
計算の二乗法則というのがあります。
ちょっと『一般システム思考入門ージェラルド・M・
ワインバーグ』引用してみます。

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『過去においては、生物システムを取り扱う唯一の方
法は、
部分間の相互作用を最小にしようとすることであり、
それが故に真の興味の焦点をしばしば見失ってしまっ
た。
今日では、われわれがその複雑で豊かな生物システム
を取り扱うのを妨げているのは、
まさに金と時間そのものなのである。W.ロス・アシュ
ビー
 
ただの2個よりなる最も一般的なシステムを記述する
方程式を考えてみる。
2物体システムは4個の方程式を必要とする。
各物体自身の固有の運動を記述------「個別」の運動
方程式が2個。
各々の物体の運動が他にいかに影響するかを考え
る------”相互作用” 方程式が1個。
物体が両方とも存在しない時にはどうなるかを考え
る------”場”の方程式が1個。

物体の数の増加に伴い、”場”の方程式でけは常に1
個。
また”個別”方程式は物体1個につき1個なのである
が、
”相互作用の方程式だけは急速に増加してしまう。
実にn個の物体につき、2のn乗の関係式が必要となる
のである。

具体的にいうと、10個の物体には2の10乗=1024個の方
程式。
100,000個の物体には約10の30,000乗個。
 
さて、方程式を解くのはいったいどれくらい大変なの
か。
これは極めて興味深い問題である。
ニュートンの時代、力学は哲学の強い影響をうけてい
た。
ラプラスを含めて哲学者達はみな、あらゆる物体・粒
子の位置・速度が正確に測定されるならば、
世界の未来を完全に計算することができると考えてい
た。
・・・力学者達の夢が現実的になってきたのは、実に
われわれの年代になってからである。
しかも、これに伴って哲学的思考の大革命がやってき
たのである。
革命の一側面は計算費用に関する、より現実的な関心
であった。
-----”時間と費用”がどれだけ要るのか?こそは一般
システム運動のまさに基本問題なのである。』

-----
 
つまり、科学的思考というのは「単純な機械的なシス
テム」を考えるのには適しているのですが、
人体や社会、経済といった「複雑なシステム」を考え
る時には不適当であるということです。
ね、お釈迦様の言ったとおりでしょう。
 
今後の支部研修会を考える上において、
このことは「送り手」側、「受け手」側に共通する問
題として浮かび上がってきます。
われわれは色眼鏡をかけていて、人間の一側面しか見
られないのですから、
そして真実は解りようがないのですから、
研修会で各講師が述べることも正しいかどうかは解ら
ないのです。
せめて言えることは、各講師の述べることはその講師
において正しい、ということのみです。
受け手も十分にそのことを理解し望まなければなりま
せん。
そして、一人の講師の言うことだけでなく、多くの講
師の見解を聴くことによって、
治療という巨大な全体像を継ぎ接ぎしながら真実を
探って行くしかないのではないかと思うのです。

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■親睦・研修・温泉旅行■

6月の研修会は、参加者の親睦を兼ねた研修旅行とな
ります。ふるってご参加ください。

研修旅行では、
5月の研修会において披露された天内先生の「腹押
し」や「関節操法」など、
たくさんの技術を復習する時間も用意しております。

※先月の支部便りにおいて誤りがありました。ここに
訂正します。
正誤 : 集 合 小田急厚木駅→本厚木駅
期 日 6月28日(日)〜6月29日(月)1泊2日
行 先 静岡県東伊豆熱川温泉
宿泊地 熱川シーサイドホテル 電話:0557-22-6200
集 合 上野駅(公園口)集合 7時15分
    小田急本厚木駅(南口) 8時15分
行 程
【行き】
 7:15 集合(上野駅) 8:15 集合(小田急
厚木駅)
 7:30 出発     8:30 出 発
11:30 現地合流 昼食(昼食は自己負担)
13:00〜15:30
     自由時間(散策&温泉入浴 オプション観

15:00〜17:00 均整研修会
17:00〜18:30 夕食(バイキング)
18:30〜20:00 自由時間(温泉入浴・カラ
オケ等)
20:00〜22:00 懇親
【帰り】
 7:00〜 8:00 朝食
 8:00〜 9:30 均整研修会
 9:30 チェックアウト
 9:30〜11:00 散策
11:30 昼 食(各自負担)
12:00 ホテル出発
16:00 小田急厚木駅到着予定
17:00 上野駅到着予定
費 用 7,500 円(1泊2食付、300円送迎バス付き)
※行きの昼食は各自持参か各自負担の食堂等で。
※夕食時の飲み物は支部負担とします。
※部屋の冷蔵庫の使用は各部屋単位で精算。
※浴衣/タオル/歯ブラシがつきます。
※屋上プール・海/川で魚釣りができます。
※旅行保険には加入しておりません。
※オプション観光1,800円(旅行申し込み時に申し込む
事)

担当:深沢・天内・田川

◆参加申し込みは担当まで、上野、本厚木いずれかの
集合場所希望かを申し添え、ご連絡ください。

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■支部便り掲載について■

支部便りは、支部会員が自由に発言できる場であり、
その活動を応援する為の場でもあります。
求人案内や、コラムなど、掲載希望の方がいらっしゃ
いましたら、
担当:矢作、事務局(天内)まで連絡をください。

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■あとがき■

支部長の執筆した二度にわけて紹介した「支部研修会
を考える」を、
師会の会報にも掲載させていただき、他支部の方にも
紹介する事にしました。
よせよ、おい、と云う支部長の声が聞こえてきそうで
すが、
東京支部が目指す研修会の形がよく表現されていると
思います。

今月は忙しいです。全国講習会も開催されます。
たくさんの「身体均整法」に触れられます。
故細谷栄先生の身体均整法50周年記念誌に寄せられた
言葉を編者はたびたび思い出します。
ここに紹介させていただきます。
「私も一生死ぬまでは勉強だと思って、世界に比類な
い身体均整法で、
 皆様とともに世の為人の為に益々頑張って参りたい
と思って居ります」


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